卒FITで注目される自家消費システム
太陽光発電では、発電した電力から負荷の消費分を引き算して、余った電力を売る「余剰買取型」や負荷へ消費せずに系統へ全て売る「全量買取型」など、利用用途により様々なシステムがあります。
最近では、発電した電力を系統へ逆潮流せずに全て消費する「自家消費型」の太陽光発電システムが注目されています。
自家消費型の太陽光発電とは
産業用の太陽光発電システムは、発電した電気を全て売って利益を出す固定価格買取制度(FIT)を利用した「全量買取型」が一般的です。
一方、「自家消費型」は、発電した電力を系統へ逆潮流せずに、自分たちで全て使用することで電気使用量を抑えるシステムのことを指します。
自家消費型が注目されるわけ
自家消費型の太陽光発電システムが注目され始めているのは、太陽光発電が普及する前と普及した現在の制度の変化に関係があります。
FIT買取価格の低下
太陽光発電を普及させるきっかけとなったのが、2012年より施行された再生可能エネルギー固定買取制度(FIT制度)です。
FIT制度は一定期間、買取価格よりも高い売電価格を可能にするため、太陽光市場への新規参入する企業や投資家が急速に増えました。しかし、2018年には10kW(三相)以上の産業用太陽光発電の買取価格は18円/kWh(税抜)まで低下しました。
上昇する再エネ賦課金
私たちが毎月電力会社へ支払う電気代には、基本の電気料金に加え、再生可能エネルギーの発展の促すために「再エネ賦課金」が課されています。
この再エネ賦課金は、電気代とともに年々上昇を続けており、経産省の試算では2030年まで上昇すると見込まれています。
各電力会社の出力制御
指定電気事業者に指定されている電力会社と系統連系する「全量売電」の場合、無補償・無制限で出力制御を行わなければならない可能性があります。そのため、発電を全て売電することが出来ない状況があり得ます。
太陽光発電の出力制御について電気は売るより使う時代へ
太陽光発電において、これまでは売電料金が電力料金を大きく上回っていたため、売電が優先されてきました。しかし、前述の通りFIT買取価格の低下と再エネ賦課金の上昇により、いずれ売電料金が電力料金を下回ることが予想されます。
売電を目的とした太陽光発電の導入が難しくなっていくことから、設備費の回収原資も「売電収入」から自家消費を念頭に置いた「電気料金の節約」へシフトし、電気は売るより使うことでFITを脱却する時代へ近付いていくと言えます。
自家消費のメリット
自家消費型の太陽光発電システムのメリットは、次のようなことが挙げられます。
電力料金の節約
自家消費型の太陽光発電では、発電した電力を直接設置した施設で利用することで、電気使用量を抑えて電気料金を削減することができます。
最大デマンドを抑えてさらに節約(法人契約の場合)
法人の契約電力では、過去1年間で最も多い月の電気使用量(最大需要電力値)で決まります。これを最大デマンドとも呼びます。
契約電力を超過して電気を使用すると、超過金の支払いや、契約料金のアップに繋がる場合があります。逆に自家消費型システムで最大デマンドを抑えることができれば、更に料金を節約できます。
※高圧以上の法人契約の場合(低圧であれば一般家庭と同じ)環境貢献度UP
太陽光発電は、基本的に自家消費型の方がエコだと考えられています。
余剰電力を売電する場合は、送電時にどうしても微量のロスが生じてしまいます。しかし、自家消費の割合を大きくすることで、そういったロス自体を生み出さないことに繋がるからです。
ご家庭用では使う電力が再エネ由来かどうかは気持ち次第かもしれませんが、企業が太陽光発電を導入し、発電した電力を自家消費した場合は環境貢献としてアピールする名目を得ることができます
※全量売電の場合は、環境貢献としてアピールする名目は得られません。
効率のよい自家消費のために
蓄電池との連携
自家消費型の太陽光発電を効率よく運用するために重要となるのが、蓄電池システムとの連携です。
例えば、昼間の太陽光発電で余った電力を蓄電池に貯め、発電量が少ない時間帯に使用するなど、自家消費と蓄電を最適なバランスに保つことで、電気の購入を抑えることができます。
パワーコンディショナの出力制御
自家消費型の太陽光発電では、系統への逆潮流ができません。
そのため、弊社では需要電力と発電電力を比較しながら、適切な出力状態を算出してPCS(パワーコンディショナ)を制御することにより、効率的な発電電力の利用を目指していきます。
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