I. はじめに
HelioBase®では、PCSの定格容量を超える出力はロスとして扱われ、定格容量以上の出力はピークカットされます。
PCSによっては定格容量をある程度超えて出力できる場合があります。逆に、シミュレーションを行うサイトによっては、PCSの力率制限などによって定格容量よりも低い値での出力制限を指示されている場合があります。
このようなケースでは、構成ツリー編集時に設定することができる、出力制限比率(PCS Factor)パラメータを変更することにより、定格容量を超えるあるいは、定格容量以下の値をピークカット閾値として設定することができます。
このチュートリアルでは、 出力制限係数を使用し、PCSの出力を制限する実例を紹介します。
※このチュートリアルは、HelioBase® ver.2.0.9.3に基づいて作成しています。旧バージョンではこの機能はありませんのでご了承ください。
II. シミュレーション実例
1. 概要
定格容量10kWのPCSに対し、90%の出力制限をかけます。
2. 設定
下表の条件でPVアレイを設置します。
項目 | 内容 |
PVモジュール | フィールドロジック製:SP-90 |
PCS | フィールドロジック製:PCS-420 |
設置方式 | アレイ架台設置:5列2段×1台 |
傾斜角:20° | |
方位角:0°(真南) | |
列間スキ:10mm | |
段間スキ:10mm | |
アレイ架台下端高さ:1000mm | |
アレイ間左右スキ距離:500mm | |
アレイ間前後スキ距離:2000mm | |
PVストリング | 5モジュールを1ストリングとする |
計算方式 | JIS C8907パラメータ方式 影を考慮する |
定格出力10.0kWのPCSに28列分のPVアレイのPVストリングをつなぎ込み、1台のPCSで構成するようなシステムを想定します。
②「PVストリング設定(PVアレイ)」ボタンをクリックし、1PVアレイ分だけPVストリングを設定します。
③「構成ツリー」タブに移動し、下記設定でPCSにPVストリングを接続します。
3. 出力制限係数の設定
「CalcUnit」の「Params」を選択すると、左下のタブ一覧が「Params」タブに遷移するので、そのParamsテーブルのPCSfactorの値を変更します。(今回は「1」⇒「0.9」に変更します。)
4. 計算結果の確認
計算を実行し、「結果表」タブを開き結果を確認します。
下右図のような結果が見られるはずです。
参考にPCS出力制限係数を1.0とした場合の計算結果(下左図)と比較すると、
3月16日12時のPCS出力電力量の値が、出力制限係数が「1.0」の場合は「9.68(kWh)」となり、ピークカットされませんが、出力制限係数が「0.9」のときは「9.00(kWh)」となり設定した値でピークカットされ、かつエラーが表示されていることが確認できます。
なお、実際にはPCSの出力ピークカットの閾値は以下の式で算出しています。
PCS出力のピークカット閾値 = 定格容量 × PCSの出力制限比率 × PCSの出力制限係数
ここで、PCSの出力制限比率はあらかじめDBに登録されている値で、多くの場合1.0に設定されています。