I. はじめに
比較的規模の大きいPVシステムをシミュレーションする場合、PVアレイやPVストリングをすべて設定して発電量を計算すると、時間と手間が大幅にかかってしまいます。
PVシステムでは、PVアレイやPVストリング結線がパターン化され、同じようなPVアレイ、同じようなPVストリングの繰り返しによって構成されている場合が多く見られます。
このような場合、HelioBase®では、機器の構成をパターン化させる、「Group」と「Block」を使用することができます。「Group」「Block」ともに構成ツリーにて設定することができ、「Groupノード」「Blockノード」以下に構成される機器をパターン化し、数量設定することによって、数量分の構成を擬似的に計算します。
このページでは、 この「Group」および「Block」の使用方法を紹介します。
※このチュートリアルは、HelioBase® ver.2.1.1.2に基づいて作成しています。画面や操作など、最新バージョンと異なることがありますことご了承ください。
※「Group」と「Block」の違い
「Group」、「Block」ともに構成ツリーに要素として挿入することができ、「Group」、「Block」以下のノード(接続されるすべての機器)を数量倍することができます。
「Group」はAC側の機器の上流に挿入することができ、「Block」はDC側の機器の上流に挿入することができます。PVシステムにおいては、PCSがAC/DCの分岐点になりますので、PCSや変圧器以下の構成を定数倍したい場合は、それぞれの上流に「Group」を挿入し、PVストリングをまとめたい場合は「Block」を挿入します。
II. シミュレーション準備
① 下表の条件でPVアレイを設置します。
項目 | 内容 |
PVモジュール | フィールドロジック製:SP-90 |
PCS | オムロン製:KP55K |
設置方式 | アレイ架台設置:5列3段×5台 |
傾斜角:20° | |
方位角:0°(真南) | |
列間スキ:10mm | |
段間スキ:10mm | |
アレイ架台下端高さ:1000mm | |
アレイ間左右スキ距離:500mm | |
アレイ間前後スキ距離:2000mm | |
PVストリング | 5モジュールを1ストリングとする |
計算方式 | JIS C8907パラメータ方式 影を考慮する |
定格出力5.5kWのPCSに1列分のPVアレイのPVストリングをつなぎ込み、
5台のPCSで構成するようなシステムを想定します。
②「PVストリング設定(PVアレイ)」ボタンをクリックし、1PVアレイ分だけPVストリングを設定します。
III. Blockを設定する
① 機能タブ上の「構成ツリー」をクリックし、「構成ツリー」を開きます。
②PCSを追加します。(ここでは、下記PCSを使用します。)
「PCS」:オムロンKP55K(定格出力5.5kW)
③PVストリングを追加します。
④追加されたPVストリングを選択します。
⑤右下の「ブロック挿入」コマンドをクリックします。
⑥構成ツリーの中の「Block」を選択します。
⑦左下のプロパティ画面にBlock数を入力し,「設定」ボタンをクリックします。(ここでは、「5」に設定します。)
下位のブロックを含めない場合
同じ階層に別のブロックを挿入したい場合の説明をします。
①追加されたPVストリングを選択します。
②右下の「ブロック挿入」コマンドをキーボードの「Ctrl」または「Shift」を押しながらクリックします。
③下位のブロックを含まずにブロックを挿入することができます。
IV. Groupを設定する。
①追加されたPCSを選択します。
②右下の「グループ挿入」コマンドをクリックします。
③構成ツリーの中の「Group」を選択します。
④左下のプロパティ画面にGroup数を入力し,「設定」ボタンをクリックします。(ここでは、「5」に設定します。)
Ⅴ. 計算実行
①「計算実行」コマンドをクリックします。
②画面右側の「結果サマリー」タブをクリックし、「結果サマリー」タブを開きます。
PVモジュールが15枚で1つのPVアレイなので、
総PVモジュール数(375)÷PVアレイ(15) = 25
25枚のPVアレイの計算がされていることが確認できます。
システム容量(33.750kW)から見ても、
1PVアレイの出力(3組のPVストリング):450.0Wの
25倍(1.35kW)で計算されていることが確認できます。